※今はなき、Yeah!!J-pop!という音楽情報サイトに掲載されたレビューです。

Empty Black Box

百年たっても
2004/5/8
WJW-001



六人編成のこの大所帯バンドが奏でる音楽は、力強く、時に繊細で、聴く度に様々な景色を見せてくれる。どこか物憂げで、はかなく、でも生きているという、血のドクドク流れるようなサウンドからは、自分の中の何かを呼び起こす感覚をひしひしと感じる。
 全編を通して流れる、テンポの良いメロディーに思わず踊りたい衝動に駆られる。「僕らの気持ち」は、悩み多き人たちへ向けた歌で、たくさんの熱い言葉を投げ掛けてくれる。決して気張らず、あくまで自然体にゆるやかに流れるホーンやサックスの音色と共に、歌声が優しく心に染み込む。「花束」は管楽器の優しい音色が気持ち良く響く、今作唯一のバラードでアルバム全体に新鮮な彩りを添えている。そして表題曲の「百年たっても」は、ここまでストレートなラブソングはあまりないだろうってぐらい、素直で偽りのない、そして少し照れくさい言葉で唄われた歌で、知らず知らずのうちに心を奪われる。最後の「僕は弱虫だから…」は、アコースティックギターの美しい音色とかすれたボーカルに聴く人が皆涙するであろう素晴らしい歌だ。最後の最後でこの歌を聴くことで、じんわりと心に響く。
 切なさ、悲しみ、喜び、怒り、そんな誰もが知っている「喜怒哀楽」がこのアルバムには沢山詰まっている。まるで例えるなら沈みゆく夕日のように、誰もがその変わらない景色を見て切なさを感じるように、このアルバムには変わらないけれどだんだんと変わりゆく、時の流れに身を任せゆったりと過ごしていく空気が詰まっている。


大木彩映理